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【2024/05/04 14:23 】 |
「久しぶりに会ったのに」
6afd4567.jpg

がぶっ
もぎゅもぎゅ…
じゅるっ

短いがふわふわとした毛がべったりとよだれで汚れていく。
炎タイプだからなのか口内がとんでもなく熱い。
なぜ自分がこんな目に会うのだろう。
さんざん探してようやく見つけて、とても久しぶりに聞いたバク兄ちゃんの言葉が、
「お前ら二匹を食わせてもらう」だなんて!

信じられない!訳が分からない!
ちゃんと話をしなきゃ!

そう思うのと同時に、背中から炎を吹き出した。
「ぐぁっちぃ!?おえっ!ゲホッゲホッ!」

吐き出され、地面に放られた。痛い…。
「仕方ない…。こっちを先に食うか」
あ、ブイ!あぁ…。

抵抗するブイを無理やり口に押し込む。
頬が動いているから中で暴れているのだろう。

ゴリッ
口の中のブイを噛んだ。
するとブイは動かなくなってしまった。
バク兄ちゃんはベッ、と真っ赤なつばを吐いた。

「ブイ…?」
「ノーマルタイプだからな、お前みたいに炎を吹き出したりしないから喰いやすい」
「ブイは…?」
「噛んだのが悪かったようだな。気絶したのか死んだのかわからん」
「死んだの…?」
「わからないといったが?」

気温が上昇し、目の前が揺らぎ始める。
バクフーンの種族が得意とする方法だ。
「灼熱の炎で周りにカゲロウを作り出し姿を隠す…」
「よく覚えていたな。それとも調べたのか?」
すでに視界に入るものはグラグラとして原型をとどめていない。

このままじゃ、だめだ。
喰い殺されちゃう。

逃げなきゃ!逃げなきゃ…!
背を向けて、走り去る。
でも頭がふらふらして、二歩も走れず転んだ。

なんで、なんで兄ちゃんに、
「なんで兄ちゃんにこんなことされなきゃいけないの!?」

自分でも出したことのない大声が出た。
でも、もうダメだったみたいで、
さっきのような生ぬるい感触が体を包んだ。

バク兄ちゃんの出す高温に晒されたせいか、体がだるくて動かない。
舌が体中を舐めまわして、どろどろにされたあと、下に落ちる感覚。

喉の肉が少し体を締めたあと、気を失う。

広い空間。
間違いない、ここは胃袋だ。
真っ暗で、吐瀉物の発する刺激臭と同じにおいがする。
座り込むと、べっとりとしたボロ雑巾のような物に触れた。

直感でブイだと理解した。
ブイだと思われるそれにしがみついて体を揺する。
「起きて!起きてよ!」
暗闇に目が慣れて、少しずつブイの姿が見えてくる。

太ももに大きな穴が空いていた。
バク兄ちゃんの噛んだあとだ。

刺激臭と暗闇に揉まれつつ、血を見たショックなのか自分は再び気を失った。

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【2012/04/29 23:23 】 | 【小説】イーブイ編【未解決】 | 有り難いご意見(0)
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