「おい」
「ぐー…」
「おい！」
「んん…」
「おい！！」
「んにゃ？」

「やっと起きたか…」
「あ～、バン君じゃん。どうかしたのぉ？」
バン「指令だ、指令」

「えぇ～、めんどくさいよ～」

穏やかな口調のカイリューと、ぶっきらぼうな口調のバンギラスがいた。
彼らは探検隊のチーム[ベルスィ]
そして用無しになった者たちの処分を行う者でもある。

バン「あ～…今日は街で緑のりんごをとってこいと…」
カイ「え～、そんなの下っ端にやらせればいいのに…」

バン「…カイ。忘れたわけじゃねぇだろ」
カイと呼ばれたカイリューはうつ伏せに寝て腕を組み、足をパタパタとさせている。

カイ「忘れてないよぉ。[緑のりんご]ってのは標的のことでしょ？そんくらい覚えてるって」
バン…、バンギラスは疑いのまなざしを向けるがカイリューは知らんぷり。

カイ「[緑のりんご]ってのは隠語。標的のことでしょ？」
バン「…そうだ」
片目に傷のあるバンギラスは真剣な表情だ。

カイ「…で、どんな奴なの？小さくておいしい子だといーなぁ」
バン「ふざけるな、真面目に聞け。」
どうもこのバンギラスは苦労性なようです。

バン「そいつの種族は…イーブイだ」
イーブイ…ノーマルタイプのもこもことした毛に覆われた愛らしいポケモンだ。
カイ「イーブイかぁ…あんま美味しくないんｄ「黙れ」

～出発直前～
「…君は行かないの？」
カイリューはふと思い出したように聞いた。
「あ、俺か…俺はいかない」
カイ「そう？じゃ、行ってくるね」

カイが去ったあと、バンは独り言。
バン「“野生ポケモン減少によるニンゲンポケモン化計画”…かぁ。俺の主人もこうなってんのかねぇ…。………」

・
・
・

大きな門に出迎えられ街に入った。
カイ「さぁて…イーブイだったかな？今回の標的は」
べろり、と口の端をなめあげたカイ。
これからろくでもない事をしようと考えている顔だ。

足元を一陣の風が駆け抜けた。
カイ「んお？」
ミミ「急がなきゃ！急がなきゃ！あの人に怒られる！！」
小さなミミロルがゴツゴツした物が入ってると思われる大きな袋をかかえ、懐中時計を握り締め走っていた。

カイ「平和だねぇ…」
いつの間にか口の中に溜まっていた生唾をごくり、と飲み込むと再び歩き出す。

街の中にあるギルドは大きな施設。
たくさんのポケモンがここを訪れる。
カイ「ここにいるといいなぁ」

この台詞はわりとすぐ叶えられ、ヒノアラシを連れたイーブイと出会うことになるのはまた別の話。

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